“Deep Sea Portfolio” -3
〜ニュースに取上げられない、独自の生態系を貫く株式銘柄への集中投資〜
*本内容は株式会社日本取引所グループが開催している「日本取引所グループ ニュース分析チャレンジ」に関したブログです。
2021年4月28日
”Deep Sea Portfolio”のパフォーマンス
業績好調ではあるが、ニュースに取り上げられた企業とそうでない企業
深海の生命体のようなニュースに取り上げられなかったものの、高い「成長率」・「収益性」・「効率性」を保つ、”Deep Sea Portfolio”ともいうべき上場企業5社を改めてみてみましょう:
比較対象としたのは日本証券取引所グループのニュース分析チャレンジで提供されている全上場企業3,711社をベンチマークとし、ニュースに取り上げられた「成長率」・「収益性」・「効率性」の高い5社、いわばDeep Sea Portfolioと真逆の、光を浴びている企業5社と比較しました:
ニュースに取り上げられなかった企業の方がニュースに取り上げられた企業の株価を上回る
Deep Sea Portfolioは全上場企業をアウトパフォームし、ニュースに取り上げられた5社も上回るパフォーマンスをあげています:
基準日:2020年7月1日
横軸:パフォーマンス、%
オレンジ実線:Deep Sea Portfolio
青点線:ニュースに取上げられた「成長率」・「収益性」・「効率性」の高い上場企業5社
黒実線:全上場企業
本チャレンジでは1週間毎に売買を繰り返すSwing tradeが条件となっていますが、このチャートはDeep Sea Portfolioの特徴を加味してBuy & Holdにしてあります
ではなぜDeep Sea Portfolioはアウトパフォームしているのでしょうか。仮説としては、「ニュースは株価にとって”ノイズ」でも書きましたとおり、ニュースで取り上げられていない企業こそがニュース固有のインセンティブ構造によってミスリードされることなく純粋に評価されている企業で、ニュースでセンセーショナルに扱われないがゆえにfairな株価となっているという仮説です。
深海に生きる魚族のやうに、自らが燃えなければ 何處にも光はない
〜明石海人『白猫』
この短歌は昭和初期の歌人である明石海人によるものです。ALG社の「12の光の格言」によると、明石海人はハンセン病を患いながらも短歌を発表し「慟哭の歌人」と呼ばれた歌人です。36歳の時には失明し、病魔が容赦なく海人の肉体を蝕んでいく中、詩歌の研究 短歌を詠むことに励んでいきました。この詩は、劣悪な状況でも自ら光を放とうとしたその姿勢の根幹には、この格言にあるように光の無い世界においても自らが情熱を持って生きることで自分が光輝くことができるという信念によるものとあります。
ニュースに取り上げられないことは「劣悪な状況」ではありませんが、ニュースによく取り上げられる企業と比べると目立たない、地味な聞いたことがない企業呼ばわれされることになります。しかし、Deep Sea Portfolioは、まさにこの詩にあるようにニュースという光にはあたっていないものの、自らの情熱(事業、企業理念、カルチャー)を持ち、自ら光り輝くと言えるのではないでしょうか。
伝統的な個別銘柄分析をすれば、それぞれコロナや半導体などの特需要因のものもあるでしょう。ただし、そのような特需による株価上昇はニュースに取り上げられている銘柄でも見受けられます。テクニカルなものよりも、Deep Seaの独自の生態をもち自ら光る企業、自らの情熱により自ら光り、ニュースという光が当たらないが故により企業としての本質的なところがこのパフォーマンスの根幹にあるような気がしてなりません。
引き続き、5月から始まる日本取引所グループ ニュース分析チャレンジでDeep Sea Portfolioがどのように推移していくか更なる考察を加えていきたいと思いますが、次は"Deep Sea Portfolio"を組成するにあたってのエンジニアリング面を説明します。
→ “Deep Sea Portfolio” - エンジニアリング編
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